私たちが「現実」と呼んでいるこの世界は、本当に揺るぎないものなのでしょうか?目の前の机、手に持ったスマートフォン、そして私たち自身の体。これらはすべて、触れることのできる「物質」として存在しているように見えます。
しかし、20世紀の偉大な物理学者ジョン・ホイーラー博士は、この常識を揺るがすような、驚くべき考え方を提唱しました。彼の言葉を借りれば、「すべてのものは情報からできている」とのこと。
そして、私たち自身が、この現実を創り出す「参加者」なのだと。この信じがたいような、しかし奥深い真実の扉を、一緒に開いてみませんか?
宇宙の真実?「すべては情報からできている」(It from Bit)
「It from Bit(イット・フロム・ビット)」これは、物理学者ジョン・ホイーラー博士が提唱した、非常に深遠な言葉です。「It」とは、私たちを取り巻くすべての「物質的なもの」、つまり原子、分子、星、惑星、そして私たち自身の体などを指します。
そして「Bit」とは、コンピューターの最小単位である「情報」を意味します。つまり、ホイーラー博士は、宇宙のすべての物質的な存在は、究極的には「情報」から生じている、と考えたのです。
これは一体どういうことでしょうか?私たちが普段使うスマートフォンを想像してみてください。画面に映し出される美しい写真も、流れる音楽も、その元はすべて0と1のデジタルデータ(情報)です。私たちが意識しないだけで、膨大な情報が処理されて、それが「目に見える」「耳に聞こえる」形に変換されています。
ホイーラー博士は、宇宙もこれと似ているのではないかと考えました。私たちが「見る」「触れる」ことのできるこの物質世界も、その根源には、イエスかノーか、オンかオフかといった、最もシンプルな「情報」の選択が無限に積み重なっているだけではないか?。この考え方に初めて触れた時、私はまるでSF映画の世界に入り込んだような、衝撃と興奮を覚えました。
観測者が現実を創る?量子力学の驚くべき真実
「現実とは、私たちの観測によって形作られる」これもまた、ホイーラー博士の思想の核となる、非常に重要な概念です。この考え方は、20世紀初頭に生まれた量子力学という学問に基づいています。
量子力学の世界では、電子や光子のような小さな粒は、私たちが観測するまで、「波」のように広がった「可能性の状態」として存在している、と考えられています。まるで、どこにあるか分からない「モヤモヤとした霧」のような状態です。
そして、私たちがその粒子を「観測」した瞬間に、そのモヤモヤとした霧が一点に「収縮」し、具体的な「粒子」としての位置や性質が確定する、というのです。これは「観測問題」と呼ばれ、物理学者たちの間で大きな議論を巻き起こしました。
ホイーラー博士が提案した「遅延選択実験」という思考実験は、この観測の重要性をさらに強調します。これは、光が既に進んだ後に、その光が「波」として振る舞ったのか、「粒子」として振る舞ったのかを、観測者が「後から」選択できるという、常識を覆すような実験です。
この実験が示唆するのは、私たちの「観測」という行為が、過去の出来事にさえ影響を与えているかのように見えるという、驚くべき可能性です。私たちの「意識」が、単に現実を見ているだけでなく、現実を「創り出す」側にいるのかもしれない、と感じた時、私は自分の存在そのものに対する認識が変わるような感覚を覚えました。
私たちは宇宙の「参加者」である(Participatory Universe)
観測によって現実が形作られるのであれば、私たちは宇宙の「傍観者」ではありません。ホイーラー博士は、この宇宙を「参加する宇宙(Participatory Universe)」と呼びました。彼は、宇宙を一つの巨大な「質問と答えのゲーム」に例えました。
私たち観測者が「問い」を投げかけることで(例:「この粒子の位置はどこだ?」)、宇宙はそれに「答え」を返し、それによって特定の現実が立ち現れる、と。
つまり、宇宙は、私たち「参加者」の観測行為がなければ、無限の可能性のままであり、具体的な現実としては存在しないのかもしれない、ということです。私たちは、宇宙が自らを認識し、具体的な形を取るための重要な役割を担っている、というのです。
この考え方は、私たちの存在に計り知れない重みを与えます。私たちが何を見て、何を感じ、何を意識するかが、この世界のあり方に影響を与えている可能性があるのです。
薬剤師として、目の前の患者様の症状と向き合う時、私はこの「参加する宇宙」という視点を心の片隅に持つことがあります。単に物質的な治療だけでなく、患者様自身の意識や、病気に対する「問いかけ」が、その後の回復にどう影響するか、という点にも思いを馳せるようになりました。
健康と「情報」、そして「意識」の関係
ホイーラー博士の「すべては情報からできている」という考え方は、私たちの健康にも大きな示唆を与えます。
もし体が究極的に情報で構成されているとすれば、健康な状態とは、その体内の情報ネットワークが適切に機能し、調和が取れている状態と言えるかもしれません。病気や不調は、情報伝達にエラーが生じたり、情報に乱れが生じたりしている状態と捉えることができます。
私が「量子波動器」に注目するのも、この「情報」の視点からです。量子波動器は、体の微細な「周波数」つまり「情報」の乱れを測定し、それを本来の調和の取れた状態に調整する手助けをするものだと考えられています。
これは、体内の情報ネットワークに生じたエラーを修正し、正しい情報を「共鳴」によって送り返すようなイメージです。さらに、「参加する宇宙」の考え方を健康に当てはめるなら、私たちの「意識」や「思考」もまた、体内の情報に影響を与えている可能性があります。
ネガティブな思考やストレスが体調を崩す原因となることは経験的に知られていますが、これは「意識」という情報が、体内の情報ネットワークに「乱れ」として影響を与えている、と解釈することもできるのではないでしょうか。
「問い」を深める生き方:情報と共にある私たちの未来
ジョン・ホイーラー博士の思想は、私たちに「現実とは何か」という根源的な問いを投げかけます。そして、その答えは、私たち自身の「問いかけ」と「参加」の中にある、というメッセージを受け取ることができます。
私たちの健康もまた、単に目に見える物質的な側面だけでなく、目に見えない「情報」や「意識」といった側面が深く関わっているのかもしれません。
薬剤師として、私は薬が持つ物質的な力を信じ、活用していますが、それと同時に、患者様自身の「意識」が持つ力、そして体内の「情報」の調和の重要性にも、深く思いを馳せるようになりました。
- 意識的に「問い」を持つ: 自分の体調や感情に対して、受動的に受け入れるだけでなく、「これは何を教えてくれているのだろう?」「どうすればより調和の取れた状態になるだろう?」と問いかける姿勢。
- ポジティブな「情報」に触れる:希望や感謝、喜びといった感情は、より高い周波数を持つ「情報」であり、体内の情報ネットワークに良い影響を与える可能性があります。
- 自身の「参加」を自覚する: 私たちは、この宇宙の、そして私たち自身の健康の創造に、常に「参加」している存在であるという自覚を持つこと。
この深遠な「情報」と「意識」の概念は、私たち自身の存在意義、そして健康へのアプローチに、新たな光を投げかけてくれます。
未来の健康は、私たちがこの世界にどう「問い」を投げかけ、どう「参加」していくかにかかっていると私は思います。


薬剤師
