入門・基礎

「気」の正体―量子の世界が明かす身体の波動

「気」の正体―量子の世界が明かす身体の波動

「気が滞っている」「気の流れが悪い」、鍼灸院や整体でよく耳にするこの言葉を、あなたはどう受け止めますか。

量子物理学を学ぶうちに、この「気」という概念が、決して空想ではなく、物質とエネルギーの本質に関わる現象を指しているのではないかと思うようになったのです。

今日は、見えないエネルギーの世界について、できるだけわかりやすくお話しします。

物質の正体は「振動」だった

物質の正体は「振動」だった私たちの身体も、目の前にあるスマートフォンも、すべては原子という小さな粒でできています。そしてその原子は、さらに小さな素粒子から成り立っています。

20世紀初頭、物理学者たちがこの素粒子の世界を詳しく調べ始めたとき、驚くべき事実が明らかになりました。素粒子は私たちが日常で見る「物」とはまったく違う性質を持っていたのです。

それは固定された粒ではなく、波のように振る舞うこともあれば、粒として存在することもあるという、不思議な二面性を持っていました。

この発見から生まれた学問が「量子力学」です。量子とは、エネルギーの最小単位のこと。この極めて小さな世界では、すべてが「振動」しているのです。

ギターの弦が震えて音を出すように、原子も特定のリズムで振動しています。そしてその振動は「波動」として周囲に伝わっていきます。

東洋医学で何千年も前から語られてきた「気」という概念。それは目に見えないけれど確かに存在するエネルギーの流れを指していました。

もしかすると古代の人々は、現代の科学用語を持たないまま、この物質の根本的な性質である「振動」や「波動」を感じ取っていたのかもしれません。

生命は電気信号で動いている

生命は電気信号で動いている私たちの身体が動くのは、実は電気のおかげです。これは比喩ではなく、文字通りの事実なんです。

心臓が規則正しく拍動するのは、洞結節という部分から発せられる電気信号によるものです。心電図はこの電気の流れを記録したものです。脳も同じです。

考えたり感じたりするとき、脳の神経細胞は電気信号をやり取りしています。脳波計はその活動を測定します。

筋肉を動かすときも、神経を通って電気信号が送られます。痛みを感じるのも、温かさを感じるのも、すべて電気信号が神経を伝わって脳に届くからです。

つまり、私たちの生命活動そのものが、電気的なエネルギーの流れによって成り立っているわけです。

調剤薬局で働いていると、「なんとなくだるい」「検査では異常がないのに調子が悪い」という相談をよく受けます。

薬剤師として薬を提案することはできますが、内心では「これは薬だけでは解決しないかもしれない」と感じることも少なくありません。

こうした慢性的な不調の背景には、身体を流れるエネルギーのバランスが崩れている可能性があるのではないか。そう考えるようになったのは、量子物理学を学んでからのことでした。

波動の乱れと「未病」の関係

波動の乱れと「未病」の関係東洋医学には「未病」という考え方があります。これは「まだ病気ではないけれど、健康でもない状態」を指す言葉です。

西洋医学では検査数値に異常が出るまで病気とは診断されませんが、東洋医学ではその手前の段階をとても重視します。

この未病の段階で何が起きているのか。それはエネルギーバランスの乱れだと考えることができます。身体を構成する細胞や臓器には、それぞれ本来の振動数があります。

健康なときは、これらが調和して働いています。ところがストレス、睡眠不足、栄養の偏り、環境汚染などの影響で、この振動パターンにズレが生じてくるのです。

まだ症状として表に現れていない段階でも、波動レベルでは乱れが始まっています。これが長く続くと、やがて検査で測定できる異常となり、自覚症状となって現れます。

つまり、未病の段階でエネルギーの乱れを整えることができれば、病気になる前に対処できる可能性があるということです。

私が家族の健康を守れなかったとき、もっと早く何かできることはなかったのかと、何度も自分を責めました。症状が出てから薬で対処するだけでなく、その前の段階で身体からのサインを読み取る方法があれば。そんな思いが、早期リスクの把握という考え方に私を導いたのです。

量子の不思議―つながり合う世界

量子の不思議―つながり合う世界量子力学には「量子もつれ」という不思議な現象があります。一度関係を持った二つの粒子は、どれだけ離れていても互いに影響し合うというものです。一方の状態が変わると、瞬時にもう一方にも変化が起きます。

アインシュタインはこの現象を「不気味な遠隔作用」と呼んで疑問を持ちましたが、実験によってこの現象は実在することが確認されています。

この事実は、宇宙のすべてがエネルギーレベルでつながっているという、東洋思想の世界観とも響き合うものがあります。

また、量子の世界では「観測者効果」という現象も知られています。観測する前の粒子は、波として存在しているのか粒として存在しているのか決まっていません。

観測した瞬間に、どちらかの状態に確定するのです。つまり、見る行為そのものが現象に影響を与えるということです。

これらの発見は、物質と意識、身体と心が、私たちが思っている以上に深く関わり合っていることを示唆しています。

ストレスが身体の不調を引き起こすのも、気持ちが前向きになると体調が改善するのも、量子レベルでの相互作用として説明できる日が来るかもしれません。

薬の限界と新しい可能性

薬の限界と新しい可能性薬剤師として働いてきた30年近く、私は薬の素晴らしさも限界も、両方を見てきました。

薬は確かに効果があります。細菌感染には抗菌薬が効きますし、血圧を下げる薬は確実に数値を改善します。

しかし同時に、薬では根本原因にアプローチできないケースも多いのです。症状を抑えることはできても、なぜその症状が起きたのかという体質そのものを変えることは難しい。

また、長期服用による副作用のリスクもあります。一つの薬で一つの症状を抑えても、別の問題が生じることもあります。高齢になると複数の薬を飲んでいる方が多く、薬同士の相互作用も心配です。

私が薬だけでなく、波動という新しい技術に関心を持つようになったのは、非侵襲的で安全なアプローチが必要だと感じたからです。

身体に化学物質を入れるのではなく、本来持っている自然治癒力を引き出す。個別最適化されたエネルギー調整によって、その人の体質に合わせたサポートを行う。これは薬とは異なる可能性を持った代替医療としてのアプローチです。

もちろん、これは従来の医療を否定するものではありません。急性疾患や重篤な状態では、西洋医学の力が絶対に必要です。

ただ、慢性的な不調や体質改善を望む場合には、エネルギーバランスを整えるという視点も選択肢の一つとして持っておく価値があると思うのです。

これからの健康管理のあり方

これからの健康管理のあり方健康とは、単に病気でない状態ではありません。身体のエネルギーが調和し、本来の力を発揮できている状態です。

そこに至るための道は一つではないはずです。薬という化学的アプローチも、波動というエネルギー的アプローチも、どちらも可能性を持っています。

これからの時代は、どちらか一方に固執するのではなく、それぞれの良さを組み合わせることが求められるでしょう。

西洋医学の検査技術と東洋医学の全体観、薬の即効性とエネルギー調整の根本的アプローチ。これらを柔軟に使い分けることが、真の健康への道だと私は信じています。

「気」という古代からの概念が、量子物理学という最先端科学によって新たな意味を持ち始めています。

見えないエネルギーの世界は、もはや神秘や迷信ではなく、科学的に理解できる現象なのかもしれません。この可能性を、一人でも多くの方と共有できたらと願っています。